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首長がさらに「ワシ、ワシ、ワシ」と叫ぶと、突然、前方の草むらのなかから十数人の男たちが3メートルほどの長いヤリを手に手に、「ワシ、ワシ」と叫びながら向かって来た。
同行の女子大生たちが悲鳴をあげる。
ところがなんと、私たちの右後方の草むらに潜んでいた十数人の男たちが、ヤリや弓矢を手に手に、前方から攻めて来た一軍に襲いかかった。
二隊に分かれたグ二族たちは、叫び声をあげながら攻めたり後退したりして、戦闘を繰り返す。
ものすごい迫力である。
気をとり直して見渡すと、男たちはペニス・ケースをつけ、鼻にはブタのキバを通し、頭には烏の羽根飾りをつけている。
下半身を灰で白く染めている者もいる。
腕や胸の飾りも派手だ。
20分ほど続いた戦闘が終わると、全員が私たちの前に横一列に並んで、ヤリを振りかざしながら「オワーイ、オワーイ」とかけ声を繰り返し、勝利の踊りを始めた。
ダニ族の笑顔につられて、私たちも列に加わった。
顔をひきつらせていた私たちの一行も、すっかり打ちとけて、一緒になって「オワーイ、オワーイ」と声を張りあげた。
勝利の踊りが終わると、ダニ族の戦士たちに案内されて村の広場に入った。
いきなり私が1人の男に肩車されて、戦士たちが「ウォ、ウォ、エイッ、エイッ」と叫びながら、ぐるぐる回り始めた。
村の女たちも「ワイヤオーエー、ワイヤオーエー」とかけ声をかけて輪に加わった。
私はあっけにとられたが、これは歓迎の踊りだった。
私たちの一行も、みんな輪に加わって叫び、踊った。
ここはイリアンジャヤ(インドネシア領ニューギニア)の中央高地、ワメナ県ジビカ村である。
このほど私を団長とする「ニューギニア高地人探訪の旅」の一行9人がこの地を訪れた。
メンバーのなかには医師、教員、会社員にまじって、私が教授を務める女子大の学生3人がいた。
いずれも19歳で、初めての海外旅行にニューギニアを選んだというから時代の差を感じる。
私がワメナを最初に訪ねたのは1964年だから、もう30数年前のことだ。
H記者と「ニューギニア高地人」の取材のため、イリアンジャヤのナッソウ山脈の奥深いウギンバ村に入って住み込んだ後、帰途に立ち寄っていたのだ。
1つにはワメナ近くのバリウム川沿いに、石器の原石の産地があると聞いていたからだ。
ワメナはイリアンジャヤの中央高地では最も開けていて、飛行場やホテル、警察、インドネシア軍兵舎、教会、刑務所などがあったものの、ダニ族はみんな、男はペニス・ケース、女は腰ミノだけの裸だった。
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